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【プレスセミナー開催レポート】『生成AIを活用した財務・非財務情報分析』

2026-03-25 16:30:00
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財務・会計システムおよび経営情報サービスを開発・販売する株式会社ミロク情報サービス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:是枝周樹、以下「MJS」)は、3月10日(火)、早稲田大学商学学術院 教授であり、「MJS税経システム研究所」客員研究員を務める目時 壮浩(めとき たけひろ)氏を招き、管理会計の専門家としての立場から、データドリブン経営の重要性の高まり、これからの会計人材のあり方、生成AIを活用した財務情報・非財務情報分析の手法などについて、講演を行いました。

なお、本セミナーの終盤では、MJSの執行役員で営業本部 副本部長 兼 DX事業戦略部長の八田 恭忠(やつだ やすただ)も登壇し、MJSが提供する生成AIソリューションに関連した、目時氏とのミニトークセッションも行いました。

<開催概要>

タイトル:生成AIを活用した財務・非財務情報分析
~企業価値をさらに高めるデータドリブン経営のあり方~

日程  :2026年3月10日(火)13:30~15:00

内容  :
①生成AIでデータドリブン経営を実現する
②データドリブン経営で意思決定の質を高める
③生成AIを用いた財務・非財務情報の分析
④生成AI活用にあたっての注意点
⑤財務・非財務情報のさらなる活用に向けて
⑥MJSの生成AIソリューションに関連したミニトークセッション

講師  :目時 壮浩
(早稲田大学商学学術院 教授/MJS税経システム研究所 客員研究員)

登壇  :八田 恭忠
(株式会社ミロク情報サービス 執行役員 営業本部副本部長兼DX事業戦略部長)

<講演のハイライト>

1. 製品・技術は強いが財務が弱い日本企業~グローバル企業との企業価値創出能力にギャップ~

日本企業は昔から技術力と製品力が高く、今も世界的に評価されている企業がいくつもあります。しかし、財務的評価は低く、特に会社の保有する自己資本と株価を比較するPBRが1倍を切っている企業が大半で、TOPIX500の企業でさえ平均1倍前後にとどまり、S&P500の3~4倍とは大きく異なります。PBRは稼ぐ力と成長期待の掛け算ですが、日本企業は株主や銀行から調達した資金を使ってどれだけ効率的に利益を上げたかを測る指標ROICも平均して5%ほどで、S&P500企業の10%前後とかなりの開きがあります。

このROICから借入にかかるコストと株式調達にかかるコストを加重平均したWACCを引いた「ROICスプレッド」で資金調達コストを超える収益を生み出せているかを測るのですが、日本企業はこのスプレッドが長年マイナスのままです。つまり資金調達コストすら賄えず、事業を続けるほどに価値を毀損してしまっているのです。一方、グローバル企業はスプレッドがプラスで、事業を通じて価値を生み続けています。

2. 重要性が高まる「データドリブン経営」には非財務情報の活用が不可欠

日本企業の収益力が伸び悩む中で、「データドリブン経営」はもう10年以上前からその必要性が指摘されていました。従来の日本型経営ではよく“勘と経験と度胸”と言われますが、限界を迎えつつあります。事業活動から収益・費用・利益が生まれ、それがROICにつながってキャッシュフローを生み、最終的に企業価値を高めていくという関係性を、意図的に結びつけていくようなマネジメントをしていかないと企業価値は上がらないのです。

ここで大事な視点は、必ずしも財務で表現されない「非財務情報」をいかに企業価値に結び付けていくかです。統計的なアプローチで非財務情報を分析し、企業価値との関連性を見ていくためにも、データドリブン経営が不可欠になります。

3. 生成AIの登場でデータドリブン経営を推進する環境は整った

従来、高度なデータ分析のためにはプログラミングスキルや、高価な専用ツールの導入が必要で、これが実践の障壁になっていました。

ところが生成AIの登場で状況は一変しました。日本語で指示するだけで高度な分析ができるようになったのです。そして、現在の生成AIは財務情報に加え、議事録情報、メール・チャット情報、財務諸表画像情報、グラフ画像などを統合的に分析できる“マルチモーダルAI”へと変化しています。さらに、AIが自律的に判断して作業を行う“自律型AI”も登場しました。今やデータドリブン経営のハードルはほぼ消えつつあります。

4. 生成AI時代の会計人材は経営者のビジネスパートナーに役割を変化

データドリブン経営を推進するためには分析ができるだけでは不十分で、会計人材が「ビジネスパートナー」として経営を支えることこそ重要だと考えられます。分析結果を経営層に翻訳し、意思決定に反映させる存在がいなければ経営は変わらないのです。

このビジネスパートナーになり得るのが、管理会計の専門組織である「FP&A(ファイナンシャルプランニング&アナリシス)」です。グローバル企業には必ずFP&Aがいますが、日本企業には近年までこの存在がいませんでした。しかし、その重要性が理解され、今多くの日本企業でFP&Aを導入する組織改革が進んでいます。高度なFP&Aは、財務・非財務の情報を踏まえ経営層に助言し、時には「それは違う」と意見できる意思決定の伴走者です。会計人材が戦略策定にまで参画する企業も増えています。

5. 生成AI は財務・非財務情報の分析のみならず「フォーキャスト(予測)」にも活用できる

生成AIに財務情報を分析させると、自社の強み・弱みはもちろん、競合との比較まで一瞬で整理し、そのうえ単なる数値の羅列ではなく「何が問題か」まで具体的に指摘してくれます。例えば負債比率が高くROEが見かけ上大きいだけで環境変化に弱い、といった具体的な指摘に加えて、販管費の高さや在庫過多といった課題もグラフ付きで丁寧に可視化してくれるのです。

また、生成AIは「フォーキャスト(予測)」にも強いです。例えば第2四半期の段階で、このままいくと期末どうなるのかを予測させるといったもので、いま会計の世界ではフォーキャストが非常に注目度を高めています。生成AIに過年度データや金利、日銀短観などを読み込ませれば、自動で最適な手法を選んでフォーキャストを行い、現状のままでは目標到達が難しいことも瞬時に教えてくれるので、早期に対策を講じることができるのです。

さらに、生成AIを使えば「モンテカルロ・シミュレーション」などの高度なシミュレーション分析も容易に実行できます。これは少しずつ条件を変えながら1~2万回のシミュレーションを行うもので、例えば20年スパンの設備投資計画を検討する場合でも、失敗する可能性が極めて低いことがシミュレーションから導き出されれば判断を下しやすくなります。

非財務情報の分析という点では、議事録情報の活用が挙げられます。生成AIに会議の議事録を読み込ませるだけで、会議の質や無駄の有無、意思決定プロセスの問題点まで指摘してくれるのです。責任者が曖昧なまま議論している、意思決定に至るプロセスが標準化されておらず各自の発言の方向性が統一されていないなど、人間では言いにくい点も容赦なく示してくれます。

このように、生成AIが会議運営や意思決定の質を大きく変え始めていると実感しています。

6. 生成AI 活用にあたっては人間が責任を持って介入する「Human-in-the-loop」が重要

ビジネスシーンでの生成AIの活用が一気に進む中で、懸念点もあります。生成AIが“正解らしきもの”を即座に出力するため、人間が深く考えるプロセスをスキップしてしまうのです。数値の論拠やロジックの構築を生成AIに委ね過ぎると、結論の妥当性を自力で検証できなくなってしまいます。また、基礎的なルーチンワークを生成AIが代替することで、若手が業務の全体像や細部のロジックを理解する前に表面的な調整だけを覚えるという、若手の学習機会を奪う現象も出てきています。

意思決定プロセスの中に人間が責任を持って介入する「Human-in-the-loop」という考え方が重要になります。生成AIの回答をうのみにせず、最終的なアウトプットの責任は人間が負うことを明確化し、そのような仕組みをデザインするのです。重要なプロセスに必ず人間が介入しなければ、人間の能力はいずれ低下し、問題発生時に対処できなくなります。

7. 財務・非財務情報のさらなる活用には会計システムと会計人材が重要

財務・非財務情報の活用の大前提として、継続的かつ正確な記録が必要となります。そのようなデータを蓄積するツールとして会計システムがあるので、いわゆる「アンソロピックショック」が世をにぎわせましたが、生成AIは会計システムを代替できるものではありません。ただ、今後はより多様なデータを正確かつ安定的に入手できる会計システムが求められてくると考えます。

生成AIによってデータ分析のハードルが下がった一方で、会計人材の役割の変化、ビジネスパートナー化というのが非常に重要になっています。これからの会計人材はどうあるべきかが今まさに問われており、その存在意義を保ち続けられるかどうかの重大な過渡期にあると考えます。

8. AIで生まれた時間を人間的経験の蓄積に使うことが、AI時代の会計人の価値に

【MJSの生成AIソリューションに関連したミニトークセッション発言主旨】

MJS八田:MJSは、会計データを基にAIが財務分析レポートや決算説明動画を自動生成する機能※を、会計事務所向けに提供しています。私たちは、AIによって会計業務を置き換えることだけを目的にしているわけではありません。会計事務所には、財務情報に加え、長年の顧問先との信頼関係の中で蓄積された非財務情報があります。MJSは、こうした非財務情報と財務情報をAIで結びつけて活用することで、会計事務所が顧問先企業の経営に深く寄り添い、ベストパートナーとなるための支援を行っていきたいと考えています。

目時先生:会計データの背後には事業活動や人の対話といった非財務情報があり、それを読み解くことが重要です。会計システムを活用して将来の展開を理解し助言できれば、会計事務所の価値は高まるでしょう。AIは人の心を動かせないため、経営者を納得させ意思決定を支える役割は人間が担うもの。AIで生まれた時間を人間的経験の蓄積に使うことが、AI時代の会計人の価値につながると考えます。

※関連リリース/2025年5月9日 DXプラットフォーム「Hirameki 7」の「経営分析プラス」に『AIレポート』機能が新登場 https://www.mjs.co.jp/news/news_2025/000000435.000018493/

■ 講師プロフィール

目時 壮浩(めとき たけひろ)氏

早稲田大学商学学術院 教授/MJS税経システム研究所 客員研究員

早稲田大学商学学術院 教授、博士(商学)。2011年4月武蔵大学経済学部着任後、専任講師、准教授、シドニー大学ビジネススクール客員研究員(2014年)、2020年4月早稲田大学商学学術院准教授を経て、2022年より現職。会計検査院特別研究官、各種資格試験委員を歴任。MJS税経システム研究所 客員研究員。主著『異論・正論 管理会計』中央経済社(2021年)。

■ 株式会社ミロク情報サービス(MJS)について (https://www.mjs.co.jp/)

全国の会計事務所と中堅・中小企業および小規模事業者に対し、経営システムおよび経営ノウハウならびに経営情報サービスを提供しています。現在、約8,400の会計事務所ユーザーを有し、財務会計・税務を中心とした各種システムおよび経営・会計・税務等に関する多彩な情報サービスを提供しています。また、財務を中心としたERPシステムを利用する約18,000社の中堅・中小企業をはじめ、約10万社の企業ユーザーを有し、各種ソリューションサービスの提供および企業の経営改革、業務改善を支援しています。

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