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「歩く力」が未来の健康を決める

2026-06-27 10:00:00
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前半では、生活習慣病の改善における運動療法の重要性についてお話ししました。

前半はこちら:

https://mypage.atpress.ne.jp/news/7256987

後半では、私たちが日常生活の中で何気なく行っている「歩く」という動作に注目し、健康寿命との深い関係について解説しました。

近年、人生100年時代といわれる一方で、「長生きできても元気に歩ける期間をどう延ばすか」が大きな課題となっています。

その鍵を握るのが、「歩行寿命」という考え方です。

コロナ禍で失われた"歩く力"

コロナ禍以降、外出機会の減少や在宅時間の増加によって、運動量が大きく低下した人が少なくありません。

その結果、
・筋肉量の低下
・基礎代謝の低下
・姿勢の悪化
・歩行能力の低下
といった変化が目立つようになりました。

特に注目されているのが、体の深部にある「インナーマッスル」です。
これらの筋肉は姿勢を支え、効率よく歩くために重要な役割を担っています。

健康の鍵を握る「腸腰筋」

今回の講演で特に注目した筋肉が「腸腰筋(ちょうようきん)」です。

腸腰筋は、
・背骨
・骨盤
・股関節
をつなぐ筋肉で、上半身と下半身を結ぶ重要な役割を果たしています。

歩くときに脚を前へ振り出す動作や、正しい姿勢を維持するために欠かせません。

近年では、
・基礎代謝
・姿勢
・歩行能力
・転倒予防
との関連も注目されています。

長時間座り続ける生活では、この腸腰筋が硬くなり、本来の働きを失いやすくなります。

すると、
・猫背になる
・歩幅が狭くなる
・疲れやすくなる
・腰痛が起こりやすくなる
といった問題につながります。

「鍛える前にほぐす」が大切

運動というと筋トレを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、硬くなった筋肉をいきなり鍛えても十分な効果は得られません。
まずは筋肉を伸ばし、本来の動きを取り戻すことが重要です。

今回紹介したエクササイズバンドは、

ほぐす運動

・軽い負荷
・ゆっくり大きく動かす
・呼吸を止めない

鍛える運動

・適度な負荷
・繰り返し行う
・正しいフォームを意識する

というように、同じ道具でも目的に応じて使い分けることができます。
ほぐす」と「鍛える」の両方を意識することで、筋肉の質を高めることができます。

歩行を支えるもう一つの重要な筋肉「中殿筋」

お尻の横にある「中殿筋(ちゅうでんきん)」も、健康寿命に深く関わる筋肉です。

中殿筋には、
・片脚立ちを支える
・歩行を安定させる
・転倒を防ぐ
・膝や腰への負担を減らす
といった働きがあります。

この筋肉が弱くなると、
・ふらつきやすくなる
・歩く速度が遅くなる
・膝の痛みが出やすくなる
などの変化が現れます。

年齢を重ねても元気に歩き続けるためには、腸腰筋と中殿筋を意識した運動が大切です。

「健康寿命」より大切かもしれない「歩行寿命」

今回の講演で最も強調したキーワードが「歩行寿命」です。
平均寿命は年々延びています。

しかし、
・自分の足で歩ける期間
・自立した生活を送れる期間
が同じように延びているわけではありません。

日本人では、
男性:約8年
女性:約11年
健康寿命と平均寿命の間に差があるとされています。

つまり、多くの人が人生の最後の数年間を、何らかの支援や介護を受けながら過ごしているのです。

だからこそ、
長生きすることよりも、長く歩き続けられること
が重要になります。

なぜ人間は歩き続けられるのか

人類は進化の過程で二足歩行を獲得しました。
歩くことは単なる移動手段ではありません。

・筋肉を維持する
・脳を活性化する
・心肺機能を高める
・生活習慣病を予防する
・認知症リスクを下げる
など、全身の健康に影響します。

歩くことそのものが、人間にとって最も基本的な健康法なのです。

高齢化社会で増える「フレイル」と「ロコモ」

高齢になると、
・筋力低下
・活動量低下
・社会参加の減少
などが重なり、「フレイル」と呼ばれる状態に近づきます。

また、
・骨
・関節
・筋肉
の衰えによって移動能力が低下する状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」といいます。

ロコモが進行すると、
・転倒
・骨折
・寝たきり
のリスクが高まります。

前半でも触れたように、
メタボ対策とロコモ対策を同時に行うことが、これからの健康管理では欠かせません

これからの健康管理は「自分で測り管理する時代」

講演では、ウェアラブル端末の活用についても紹介しました。

現在は、
・歩数
・心拍数
・睡眠時間
・消費カロリー
などを手軽に記録できます。

健康管理は医療機関だけで行うものではなく、
日々の生活の中で自分自身が体の状態を知ることが重要になっています。

数字で見える化することで、運動習慣の継続にもつながります。

運動療法のゴールは「人生最後の日まで歩くこと」

生活習慣病予防というと、
・血圧
・血糖値
・コレステロール
に目が向きがちです。

しかし本当に大切なのは、
最後まで自分の足で歩けること」ではないでしょうか。

そのためには、
・歩く習慣を続ける
・筋肉を維持する
・姿勢を整える
・転倒を予防する
という積み重ねが必要です。

健康寿命を延ばすために、まずは今日から一歩多く歩くこと。

それが未来の自分への最良の投資になるかもしれません。


次回予告

第6回ようが健幸教室では、
気候変動を考慮した運動療法の提言 ~実践編~」をテーマに、
実際に体を動かしながら学ぶ運動療法を予定しています。
安全で効果的な運動習慣について、一緒に学んでいきましょう。

開催日程  :2026年11月14日(土)14:00~15:30
       予約不要、無料

開催場所  :玉川区民会館(玉川総合支所4階)第1集会室
       世田谷区等々力3-4-1
      (東急大井町線等々力駅からすぐ)

お問い合わせ:03-3702-1675

講演内容  :気象変動を加味した運動療法の提言(実践編)

https://www.youga-naika.com/art-space/#a03

講演者:

菊池 真大(きくち まさひろ)院長

用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック院長 / 医学博士
日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。 1999年に慶應義塾大学を卒業後、米国ペンシルベニア大学消化器内科への留学を経て、国内の基幹病院で診療経験を重ね、2024年10月に「用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック」を開業。
肝臓専門医、内視鏡専門医、総合内科専門医として診療を行うとともに、日本医師会認定健康スポーツ医、そして2026年3月には健康運動指導士の資格を取得。
生活習慣病や未病の予防に対し、より医学的根拠(エビデンス)に基づいた運動療法を提案している。