70%以上が「毎回」「ほぼ毎回」料理の負担軽減したい…ただ“手抜き料理”には罪悪感も
2025-03-05 17:40:01

永谷園は、「調理の負担を軽減したい」という意識や、その背景を明らかにするために「家事・調理に対する意識調査」を実施。3月3日、結果を公表した。
今回の調査は、同社が二人世帯にちょうどいい、大人も満足する本格的な味わいのおかずがレンジ調理の“手間抜き”で楽しめる新商品「本日の逸品」を発売するのに伴い実施したもの。「本日の逸品」は家庭で人気の中華・和食メニュー全8種を揃え、定番のおかずが手間なく本格的な味わいに仕上がる“おかずの素”だ。
20代~70代女性442名を対象に行った調査では、まず、料理の負担を軽減したいと感じる頻度についてたずねると、70%以上が「毎回」「ほぼ毎回」と回答。掃除や洗濯や片付けは、毎日せずとも生きてはいける一方で、料理はそうはいかない。食事の準備(調理や購入など問わず)は、生きていくうえでほぼ毎日行わなければならない中で、料理に対して「毎回」「ほぼ毎回」負担を感じている人が多いことは、納得できる結果かもしれない。
次に、「料理の負担は減らしたいものの、譲りたくないもの」について質問。その結果、第1位「美味しさ」、第2位「価格の安さ」は同社も想定していた通りだったが、第3位、第4位に「栄養価」や「ボリューム」「時短」をおさえて「作り立てである」「手作り感」が選ばれていることに注目した。
譲りたくない「美味しさ」の中に、お店で食べるような味わいを求めている人も中にはいるかもしれないが、家庭で食べるからこその「手作り感」や、温かい料理を「作り立て」で食べることを大切にしたいと考えている人が多いことがうかがえる。このことから現代の忙しい生活の中でメーカーに求められているのは、「手間を省きつつ、作り立て/手作りの美味しさを追求した商品」であると考えられる。
また、興味深いことに、全世代の中でも特に60代以上が「料理の手間を軽減したい」と強く思っていることが判明。その理由として、体力の低下に伴う身体的な負担の増加の他にも、「自分のためにもっと時間を使いたいから」という回答が第2位に挙げられていることも印象的だ。定年退職や子育ての一段落など、長年の多忙な生活から解放されたことで、今後の時間は改めて趣味や交友など「自分のための時間」を確保し、自由で自分らしい充実した生活を送りたいという意識が高まっていることがうかがえる。
昨今、「調理定年」というキーワードが注目されている。これは東京家政大学名誉教授 樋口恵子氏が提唱を始めた言葉で、シニア世代に向けて「調理をがんばりすぎなくても良い」と伝えるキーワードのこと。仕事には定年があるが、「調理」、さらには「家事」は生活の一部となっており、定年がない。「いつまで調理や家事を続ければいいのか」という漠然とした不安感から、「調理定年」の「調理をがんばりすぎなくても良い」という考え方が共感を呼んでいると言われている。
この考え方が共感を集めている背景には、子育ての一段落や定年退職などにより多忙な生活から解放された大人世帯の、(調理や家事よりも)趣味や交友などの時間を確保し、自分らしい充実した生活を送りたい、という思いがあると考えられる一方で、(料理負担は軽減したいけど)手を抜くことに罪悪感を抱く方も多いのが現状。いかに上手に手間を抜くかが、豊かな生活のカギになりそうだ。
「調理定年」を提唱する樋口恵子氏は「夫が定年退職しても、妻は1日3食の料理を作り続けています。食事作りに定年はなく妻は疲れ果てています。ある時期までは女性は食生活については心配ないと思っていましたが、平均寿命が延び、90代まで生きるとなると話は違います。妻は自分の体力の限界を感じたら、きっぱり調理をやめること。これが『調理定年』のすすめです。しかし、毎食外食や人に頼むのも限界があります。家でレンジでチンするだけでおいしく食べられる惣菜があれば安心です。食はおろそかにしてはいけません。『作らずとも食べられる』を心がけましょう」とコメントしている。